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【最後の宰相、田中角栄⑬】酒品は品格、気遣いの闇将軍。1日3回の酒席で気を抜くことなし

田中角栄と言えば酒、宴席――。そんなイメージがあるかもしれません。
確かに竹下登、金丸信に離反された晩年は心労が重なり酒浸りでウイスキーの『オールドパー』を手離すことができませんでした。しかし、それは本当に最後の最後の話。全盛期の角栄の酒は意外にも上品で明るく楽しいものでした。一流の政治家は酒も一流なんですね。角栄の酒がどんなものだったのか。ビジネスマンにとても参考になるお話なのでご紹介させてください。

このブログは次のポイントにそってまとめています。

●角栄は宴席好き?
●酒席ではどう振舞ったの?
●かなりの酒量だったはずだが……。

目次

1、宴席のスタートは午後6時、7時、8時

朝方の角栄の宴席は少し早めに始まりました。1回目が午後6時から。2回目は7時、3回目は8時でした。これは毎日「3次会まで行った」、という話ではありません。それぞれ異なる人たちと1時間ずつ飲んだのです。ほぼきっちり1時間ずつ。大物ぶって時間に遅れるようなことは、ほとんどなかったと秘書官は証言しています。神楽坂なら神楽坂、赤坂なら赤坂とエリアを特定し、できるだけ移動時間が短くて済むよう近くの料亭を予約していたといいます。飲む相手も慎重に選別し、同じ業界のライバル同士がばったり遭遇したりしないよう配慮していました。

2、深酒はせずにお酌役に徹する

宴席で角栄はあまり酒を口にしませんでした。新潟出身ということもあり、とにかく酒は強かった角栄ですが、宴席は別です。自分が酔っぱらうなんてことはまずありませんでした。

代わりに相手にお酌して回ります。1回数人ずつ、ということが多かったようです。お酌をしながら相手の話をよく聞いた。業界の状況、会社の展望、海外の事情など情報を収集し、政治の糧としました。大学には行けなかった角栄ですが、向学心は旺盛で、酒の席は「絶好の勉強の場」と考えていたようです。

ですから大きな宴席の場合でも、角栄が上座にどんと座っているなんてことはありませんでした。座布団が温まる間はなかった。みんなに交わり「ワーワー」「ガヤガヤ」と笑いながら、それでいて羽目を外し過ぎることなく綺麗な酒でした。

3、きちんと情報収集、秘書官におすそ分け

宴席では秘書官に特別の配慮をしました。例えば通産大臣時代なら当然、秘書官も通産省の官僚がつきます。宴席の相手が通産省が管轄する産業界の代表だった場合、「こことあそこが企業合併を水面下で調整している」「あの会社の社長、今期でやめるらしい。後任はきっと専務のだれだれ」などと最新の情報が出てきた時などは、わざと秘書官に聞こえるように「そうか。あそこと、あそこが合併を検討しているんだな」と繰り返したそうです。それを聞いた秘書官は、その情報で手柄を立てることができるわけです。常に人に配慮する繊細な人柄でした。

4、本当は料亭が苦手

料亭政治という言葉がありますが、角栄は料亭は苦手でした。懐石料理の基礎は京料理です。出汁はカツオではなく昆布であることが多いし、色味を大切にしますから醤油より塩を使います。量だって多くない。

秘書だった早坂茂三の『オヤジとわたし』によるとこうあります。

「(角栄は)高級な料亭なんか、本当は苦手なんです。たとえば、東京の有名な料亭に行くと、料理にはあまり手を出さない。飲むだけで、ほとんど食べない」

もったいない話ですが、懐石料理は一人前で5万円も6万円もとりますから、早坂が「強盗みたいなもんです」というと角栄も「そうだ」と応じたそうです。

だからと言って文句を言うことは絶対にありませんでした。

「いやあ、女将さん、おいしかったよ。ありがとう。また来ます」と丁寧にお礼を言ったといいます。

5、夜10時には床につく。朝2時に起床し勉強

 帰宅も意外に早かった。9時過ぎに家に到着していることも少なくありませんでした。宴席ではあまり食事を口にしないわけですから、家に帰ってもお腹はすいています。奥さんが作ってくれた塩辛い新潟風の味付けの夕飯をおいしそうに食べたといいます。

そしてお腹がいっぱいになると、夜10時には寝てしまいました。角栄は朝2時には起床し、資料を読み込んだり本を読んだり、勉強するのが習慣でしたから、だらだらと起きていることはなかったといいます。

6、生粋の醤油党

 角栄といえばウイスキー『オールドパー』のイメージですが、もともとは日本酒党です。一升酒でツマミも辛いものを好みました。寿司にもジャブジャブ醤油をかけました。盟友の大平正芳とのすき焼きは有名で、甘党の大平が鍋にたっぷり砂糖を入れると、「こらこら」と言って醤油をじゃっとかける。あわてて大平が砂糖を足す。するとまた角栄が醤油をかける。こんな具合だったといいます。これは盟友との会食の話ですから、財界人などとの会食ではもちろんそんなことはありませんでした。

7、まとめ

 ここまでお読みいただき本当にありがとうございました。酒宴はその人柄が出ます。角栄という人物、豪快で豪傑で、そして豪胆で。でも、実際は気遣いの人でした。酒を飲めば飲むほど繊細になって行ったといいます。
以下、まとめとなります。

●酒席は1日に3つ。スタートは午後6時から1時間刻み
●酒に飲まれることなし。気遣いの宴席
●料亭は苦手。最後は家で奥さんの手料理

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著者情報

ニックネームはハチマキめがね 。下水道の清掃員、マンホールから地下にもぐり数百匹のゴキブリとウンチまみれのドブねずみと対決→生鮮市場 でサンマやイワシなど小魚を売る。毎日、ギャング集団のマグロチームに追い立てられ少し弱り気味。市場の新鮮な旬の魚で一杯やるのが何よりの楽しみです。ド底辺の世界から世間をながめ、気になる話題を独自の切り口で語ってみました。「満月」のように太陽の光を浴びて夜道をやわらかく照らすような存在でありたいと思います。よろしくお願いします!

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