岸田文雄首相が日本の安全保障政策の大転換を公式化しました。
日本は「戦争可能な正常国家」となり、国家安全保障のためには戦争することができる「一流国家」になったという考えを示したのです。「戦争は異常なもの」だったはず。岸田首相はなぜこんな発言をしたのでしょうか。見てみましょう。
●問題の岸田発言とは
●いったいなぜこんな発言?背景は
●日本の行く道はどっち。
平和国家から戦争国家へ
1-1 戦争できることが「一流国家」の条件
岸田首相の発言は米国CNN放送とのインタビューに答えたものです。4月7日(現地時間)に公開されました。「日本は防衛力を抜本的に強化する決定を下し、日本の安全保障政策を大きく転換した」と発言しています。日本は今、「歴史的な転換点(歴史的な転換点)」に立っているとの認識でして、1947年戦後、米国主導で平和憲法が作られた後、77年ぶりに日本が国家安全保障のために戦争することができるようになったとの見方を示しました。そして米国では、それのことが「日本が一流国家になった」証との認識を明らかにする見通しです。
1-2 米国の敵は日本の敵
日本が安全保障政策を大きく転換した理由について、岸田首相は「ロシアのウクライナ侵攻や継続している中東情勢、東アジア情勢」をあげています。ロシア、北朝鮮、中国を意識した発言で米国の危機感を代弁したものです。「米国の脅威は日本の脅威」というわけで、ロシアなどは激しく反発しています。
「国賓」は高くつく
2-1 憲法の問題はまず米国で
発言は明らかに米国を意識したものです。1947年に作られた平和憲法が米国主導でしたから、77年ぶりにそれを方向転換する場合も「まずは米国で」という意識なのでしょう。ロシアや中国への牽制という意味で、日本の発言は大きな意味を持ちます。
2-2 要するに「お金」?
岸田首相は4月8日から訪米しています。日本の首相の訪米は9年ぶりですが、驚くべきことに岸田首相は「国賓」として迎えられています。これは安倍首相を超える極めて異例な厚遇でして、国賓なら国賓として、それなりの手土産が必要な状況にあります。要するに「お金」ですね。
2-3 弱い国内支持政権、欲しい米国の後ろ盾
岸田政権はパーティー券のキックバック問題や議員の乱痴気騒ぎ騒動などで支持率は超低空飛行です。支持率は20%台。このままでは政権維持は難しい。選挙も打ちにくい。米国で威勢のいいことを言って、お金もばら撒き、全面的に米国にバックアップしてもらうことが大切なのです。
2-4 「金」も出すし「技術」も出す
岸田首相は「日本の周辺には、弾道ミサイルや核の開発を進めている国、また不透明な軍事力の増強を進めている国がある。米国と地域の平和と安定の向上に共同で取り組むことができれば望ましい」と述べました。まどろっこしい表現ですが、要するに「日本の周りはきな臭いので、米国と組んで対抗していく」ということです。
つまりは軍事強化。日本は2027年までに防衛予算をGDP(国内総生産)の2%水準まで引き上げる予定ですし、最近では米国の先端武器を日本で共同生産・輸出することも決めました。
「お金」も出すし「技術」も出す。米国には「何でも出します」というスタンスです。
世界が相手
3-1 集団的自衛権の安倍氏を超える岸田
2013年、安倍晋三元首相は平和憲法第9条を無力化する集団的自衛権行使を規定しました。日本は専守防衛原則から脱して「敵基地攻撃能力」まで具体化するなど正常国家化の道を段階的に踏んできました。これは米国にとっては大歓迎でしょう。自分の代わりに日本が中国やロシアと戦争してくれるなら安上がりになりますし、安全です。日本はいつまで「防衛は米国にゆだね、日本は経済に集中」などと言っていられるのでしょうか。
3-2 米国の経済関係、実態は年々薄く
今回の発言にロシアは激しく反発しました。しかし、反発してくれるだけまだありがたい。日本に関心を持ってくれているわけですから。それは重要視してくれていることの裏返しでもあります。中立国としてロシア、北朝鮮、中国やイランなどとも友好関係を築いていくのが日本の道ですし、繁栄します。日本と米国の貿易量は年々減少し、日本経済へのインパクトは少なくなる一方です。米国が重要な同盟国であることは事実ですが、米国だけが重要なわけではありません。世界全体に配慮し相手にするべきです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。以下、まとめとなります。
まとめ
●「戦争できる正常国家」とは米国向けメッセージ。日米軍事同盟をますます強化。
●国賓として迎えられた岸田首相のリップサービス。「金」も「技術」も。
●国内の支持基盤、日々もろく。欲しい米国のバックアップ。