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新築マンション価格1億円超えのなぜ?あわてて買ってはいけない3つの理由

家は建てておけばそのうち上がるから買え、買え――。日本の景気が良かった1960年代ならそれが相場でした。けれども今はリモートワーク時代、旅先で好きな時に自由に仕事をするワーケーションも増え始めているなかで「もう、都心にマンション買うなんてナンセンス」と思っておられる方も増えてきています。でも、どうでしょう。新築マンションの価格が凄まじく急上昇しています。人口も減ってきているのに家が足らない?まさか……。

・現在の新築マンション市場の動向
・新築マンションが高騰の本当の理由
・新築市場はこれからどうなるの?
・東京23区の新築マンションが平均で1億円超え

2023年に東京23区で売り出された新築マンションの平均価格が1億円を突破した――。調査会社である不動産経済研究所の発表に不動産業界は騒然となりました。「確かにマンション価格があがっていることは知ってはいたけれど、そんなに上がったの」。驚かれた人も多かったようです。東京23区の新築マンションの平均価格が1億円を超えるのは過去のバブルの頃を入れても初めてのこと。2022年に比べると39・4%も上昇しました。不動産経済研究所はマンションの統計ではトップクラスの調査会社で、その調査会社が「平均価格1億円超え」を統計開始以来、発表したわけですから、衝撃は大きかったようです。

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1億円超えのなぜ?そんなに景気がいいの

中東やウクライナでは戦闘が続いていますが、日本は平和そのもの。大手企業の業績が過去最高を更新、賃上げのニュースも時折耳にしますから、確かに景気はいいのかもしれません。コンビニエンスストアにいってもこれまで100円ちょっとだったシャケのオニギリが180円くらい、カップラーメンだって150円くらいかと思っていたら今や200円くらい、「みんな、そんなに景気いいのか」と驚いてしまいます。

 政府は「物価上昇を上回る賃上げを」などと言っていますが、実際そんなことができる企業はそうありません。賃金がさほど上がっていないのに物価だけがドンドン上がる。

理由は「大きくは原材料費の高騰」なんです。いわゆる「コスト・プッシュアップのインフレ」なんです。例えば食品などは日本の食料自給率が38%(2022年度)、生産額ベースでも58%(同)ですから、原材料の多くを海外からの輸入に頼っています。世界は大きくみればインフレで原材料の価格があがっているし、それに加えて円安です。

 例えば、1ドル100円時代、1キログラムあたり2000円のシャケを米国から輸入していたとしたら、これが1ドル150円の円安になると3000円。量が増えるわけでもなく品質が高まるわけでもないのに、問答無用に値段が上がるわけです。コンビニのオニギリも大きくなっているわけではない。脂が乗ったシャケを使うようになったわけでもないのに値段だけが高くなっているのはそのためです。

マンション価格の高騰は実はコスト要因

コンビニのおにぎりと新築マンションの価格高騰の仕組みは同じ――。やや乱暴かもしれませんが、結局はそういうことなのです。マンション購入を急いではいけない1つ目の大きな理由はまずこれです。人気があるからマンションの価格が上がっているわけではない。原材料費が上がって値上げしなくては不動産会社が赤字になるから上がっているのです。

マンションはたくさんの資材を使います。H型鋼、コンクリート、ガラスなどなど……。その資材のなかで日本製のもので賄えるものはほとんどありません。大半が海外からの輸入です。1980年代のバブルの頃、日本各地で開発ラッシュが起こり、海外から大量の建設資材が運び込まれる様子をみて「このままでは資材の重さで日本が沈んでしまう」と揶揄(やゆ)されたものですが、今、問題なのは量よりも価格。多少、量も増えてはいますが、輸入価格が資材の価格を押し上げているのが決定的です。

人件費もネックに。今、外国人だってなかなか働かない

マンション価格を押し上げている2つ目の理由は人件費です。建設現場の仕事は給料が高いことで知られています。日給1万5000円、場合によっては2万円を超える現場もあります。「そんなにもらえるなら自分もやってみよう」と思われる方も多いかもしれませんが、とにかくキツい。肉体的にもそうですが、意外に専門知識を身につけなければならないし、鉄筋工や溶接工なら技術も必要です。

それに今は建設現場もかなり進化しています。道具や器具の使い方を習得するのにも時間がかかります。とりわけ最近ではAI(人工知能)を組み込んだIT端末の操作なども覚える必要があるのですが、そこは職人の世界、「見え覚えろ」「体で覚えろ」が基本ですから、苦労も多い。しかも、オフィスで働くのと同様、いや、それ以上に人間関係が複雑で難しい。肉体よりも先に精神的にまいってしまう人も多いようです。

 「それなら外国人労働者を活用すればいいじゃないか」と思う方も多いかもしれません。円が強くて高い時代ならそれも可能だったでしょう。しかし、これほどの円安の時代です。日本に来て苦労しながら働く外国人はそう多くありません。1日2万円を受け取ったとしても円の価値が下がってしまっているので、母国に送金するとかつてに比べ30%に40%も目減りしてしまっている計算になるのです。 

 こうなると賃上げです。賃上げして人を集めるしかない。2万円で人が集まらないなら3万円、工期が迫ってくると「4万円でいい、とにかく人を集めろ」ということになる。そうした賃金が全部、販売価格に乗っかってくるのです。

人がいないのは20年前の構造改革

少し古い話をしましょう。建設現場の人手不足の原因は20年ほど前の「構造改革」にも原因があります。当時は小泉純一郎氏が首相で「小泉構造改革」などとも言われましたが、この時におこなわれたのがゼネコン(総合建設会社)の淘汰でした。「日本にはゼネコンが多すぎる。だからみんな経営が厳しい。数を減らして、銀行のお金のほかの成長産業に振り向けるべきだ」という考え方でゼネコンをどんどん法的整理していったのです。

 この時に建設業界から人が去っていきました。この後遺症が今も続いているのです。

建設現場の職人が1人前になるには最低でも5年、本当に戦力になるには10年、15年が必要です。「ずいぶんかかるなあ」と思われるでしょう。しかし、建設業界というのは大手企業のように教育システムや研修制度がしっかりしていて、優秀な人材が一定のスピードで育成されていく世界ではありません。「体で覚えろ」ですから時間がかかるのです。しかも、小泉構造改革の時に優秀な人材が流出し、親方までいなくなってしまいました。それをまた一からつくりなおしているわけですから、人手不足がなかなか解消しないのも当然なのです。

新築マンションに買い手が殺到しているわけではない

物の値段は需給バランスで決まります。商品がありそれを欲しいという人が多ければ、買値段も上がっていきます。マンションはどうか。「東京23区の新築マンションが平均で1億円を超えた」と聞くと「マンションを買いたがっている人が増えたなあ」と思われるかもしれませんが決してそうではありません。

 見なくてはならないのが「契約率」です。これはマンションを発売した最初の月に決まった契約の数の割合を示すものですが、この契約率は70・3%でした。2022年に比べると0・1%のダウン。一般的にマンションの売れ行きの好不調の分岐点が70%と言われ、70%を超えると売れ行き「好調」、70%を下回れば「不調」とされます。70・3%というのは実に微妙でギリギリ、70%を超えた水準です。前年に比べ40%近くも値上がりし、平均で1億円超ともなれば、なかなか買い手もつかないでしょうが、「飛ぶように売れている」わけではないことは事実です。

まとめ

・統計開始以来、初めて東京23区の新築マンションの価格が平均で1億円を超えた。要因は原材料と人件費の高騰。
・契約率は70%強で、ようやく「好不調」の目安である70%を超えたところ・
・飛ぶように売れる状態ではない。マンション購入は急がず、ゆっくり、丁寧に。

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著者情報

ニックネームはハチマキめがね 。下水道の清掃員、マンホールから地下にもぐり数百匹のゴキブリとウンチまみれのドブねずみと対決→生鮮市場 でサンマやイワシなど小魚を売る。毎日、ギャング集団のマグロチームに追い立てられ少し弱り気味。市場の新鮮な旬の魚で一杯やるのが何よりの楽しみです。ド底辺の世界から世間をながめ、気になる話題を独自の切り口で語ってみました。「満月」のように太陽の光を浴びて夜道をやわらかく照らすような存在でありたいと思います。よろしくお願いします!

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