保守王国と呼ばれる衆院島根1区の補選に立憲民主党元職で党県連代表の亀井亜紀子氏(58)が立候補します。
自民党との対決姿勢を鮮明にし、国民民主党も相乗りし、共産党も候補者の擁立を見送ったことから野党は亀井氏で一本化、かなり優勢な状況になりつつあります。知る人ぞ知る亀井亜紀子さんって誰なのでしょう。なぜ、そんなに強いのでしょうか。見ていきたいと思います。
●亀井亜紀子さんって「お姫様」って本当?
●経歴は折り紙付きなの
●強いのは細田氏のおかげってどういうこと?
華麗なる亀井家の一族
1-1 津和野藩主亀井家の末裔の正真正銘のお姫様
亀井亜紀子さんは元衆議院議員の亀井久興氏の長女です。元東北開発総裁で旧津和野藩主亀井家の第15代当主である亀井茲建の孫にあたります。
もともと熊野神社の神職の一族が紀伊国亀井に住み、その地名である亀井を名乗ったことが「亀井」の始まりです。
紀伊から出雲国に移って、戦国時代に中国地方の二強として覇を唱えた尼子家の家臣となり、その後、羽柴(豊臣)秀吉の軍団に組みこまれて毛利家との戦いをつづけました。この頃、因幡国気多郡に1万3800石を与えられています。
この茲矩をめぐる、ちょっとユニークなエピソードがあります。彼は本能寺の変の後も秀吉の家臣として活躍するのですが、その中で毛利家と秀吉が和睦したため、かつて秀吉が茲矩に約束していた「出雲国を与える」ことができなくなってしまいました。
それで秀吉が代わりに「どこか所領として欲しい場所はないか」と問うたところ、茲矩が「日本において望むものはもうありません、願わくば琉球(沖縄)をください」といったというのです。そこで秀吉は琉球守の官職を与え、また証拠として「亀井琉球守殿」と書いた扇を渡しました。
そんなエピソードもある津和野亀井家の末裔である亀井亜紀子さん。これで国政に出て、後に沖縄開発庁長官にでも抜擢されれば、なんだか横溝正史のドラマみたいで面白いですよね。
1-2 亀井静香氏とも遠縁にあたる関係
父親の亀井久興氏もなかなかの大物政治家です。国土庁長官を務めた経験があり、国民新党の結党に加わり初代の幹事長にもなりました。総務省顧問などを歴任した人物で、亀井亜紀子さんもかなり尊敬しているようです。「父の政治にかける思いを引き継ぎたい」とも語っており、政治にかかわるようになったのは父親の影響が色濃く関係しているようです。
また、運輸相や建設相を務めた大物政治家、亀井静香氏とも遠い親戚関係にあります。
経歴に傷なし
2-1 幼稚園から学習院
亀井亜紀子さんは学習院幼稚園・初等科・女子中・高等科を経て、学習院大学法学部に進みました。そして政治学科を卒業した後、カナダのカールトン大学へ留学します。同大卒業後帰国し、英語通訳としても活躍し、東京ディズニーシーのプロジェクトなどに携わった後に父親である亀井久興衆議院議員の秘書を務め、政治を勉強しました。
元皇族の黒田清子のご主人である黒田慶樹とは学習院初等科からの同級生で、人脈は広く交友関係も華やかです。
2-2 「青年の船」で世界を巡った活動的なタイプ
経歴だけを並べるとまさにご令嬢という趣きですが、性格はかなり活動的なようです。1996年には総務庁が主催する「世界青年の船」に参加し、国際交流を始めています。「世界青年の船」、「東南アジア青年の船」、「ピースボート」にスタッフ乗船し、世界各地を訪問し見聞を広めました。「とにかくじっとしているのが苦手」なようです。
時代が味方につく
3-1 保守王国、島根が揺らぐ
今回の島根1区の補選は細田博之前衆院議長の死去に伴うものです。もともと島根は保守王国ですし、そのおかげで公共工事も他の地方自治体よりも多い地域です。社会インフラの整備も進んでいて、長年、保守の恩恵をこうむってきただけに選挙でも自民党が勝つ傾向が強いのですが、今回はやや逆風のようです。
理由は細田氏にあります。細田氏は自民党議員のパーティーの席上、持論の国会議員の定数減に絡めて「議員を減らせばよいかどうか考えたほうがいい。1人当たり月額100万円未満であるような手取りだ。多少増やしても罰は当たらない」と発言、大きな波紋を呼びました。そのうえ「上場会社の社長は必ず1億円はもらう」とまで付け加え、地元でも批判の声が高まっていました。
また、週刊文春で担当女性記者へのセクハラ疑惑も報じられており、自民党の支持はかなり揺らいでいます。
3-2 強すぎるお姫様、やっかみも
亀井亜紀子氏に時代が味方しているというのが現状でしょう。野党が亀井氏に1本化、選挙体制もほぼ確立しています。
ただ、泣き所は亀井氏の華麗すぎる人脈。野党ではありますが世襲批判も当然、あります。「お姫さま」であることは間違いないのですが、やっかみも少なくなく、これが選挙にどう影響するか、成り行きに注目です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
まとめ
●亀井亜紀子さんは正真正銘のお姫様。
●人脈、経歴ともに傷はなし
●強すぎるのが悩み