【最後の宰相、田中角栄⑧】陳情、平均3分で処理。「あれは大丈夫だ、やっておいた。」

田中角栄の記憶力の良さはよく知られています。官僚の奥さんの誕生日を覚えていてプレゼントを渡したり、息子の受験を知っていて応援したり。
とりわけこれが地元新潟の選挙民となると恐ろしいほどだったといいます。誰と誰が親戚で仲が良いのか、子供の頃は何になりたがっていたのか、まで記憶していました。ですから陳情のさばきも速い。1人あたり3分。もっと速い場合だと数秒で終わる時もあったといいます。それで全員が納得して帰っていくのですから、角栄というのは凄まじい政治家でした。ご紹介させていただきますね。

このブログのポイントは次のようになります。

●朝、平均で1件3分程度で案件を次々と処理していった。
●相手が何も言わなくても何の案件で来たのか、瞬時に判断できた。

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1-1、朝7時から8時までフル回転

 角栄は宴席好きで夜型のタイプと思われがちですが、決してそうではありませんでした。朝が強い。深酒もあまりせず、朝7時にはフル回転だったといいます。角栄は朝の7時から8時までを陳情を受け付ける時間に決めていました。秘書官たちはだいたい朝7時30分くらいに目白の田中邸に到着するのですが、その頃にはたくさんの人たちがやってきていて順番を待っている。「とても活気のある風景だった」といいます。この朝の1時間に数十人、時には100人近い人と会い、案件を片付けてしまうのですからまさにさながらコンピューター付きブルドーザーでした。

1-2、顔をみただけ。「君なあ、あれはやっておいた。安心しろ」

 角栄は選挙区の新潟3区(当時)の人たちを熟知していました。人の顔、名前はもちろん姻戚関係や友人関係まで熟知していましたが、その人の後ろに誰がいて、何をして欲しがっているのかまで、頭にきちんと整理されて入っていました。

ですから顔を見ただけで何の案件で来ているのかかが、瞬間的に分かります。こんなこともしばしば。

「君なあ、あれは大丈夫だ。やっておいたから。安心しろ」。相手が何も言わないうちにです。顔の様子で何の案件でやってきていたのかが、分かったといいます。秘書官があまりの速さに「あれで大丈夫かな。話がかみ合っているのかな」と心配していると、相手は喜んでいる。それで「ああ、大丈夫なんだ」と確認できたといいます。

1-3、「あれはダメだ。来年まで待て」

陳情ですからいい時もあれば悪い時もある。角栄は悪い時も速い。

「あれな。あれはダメだ。もう今年の予算は終わっている。あきらめろ」ときっぱり。そして可能な場合は「代わりに来年やる。来年まで待て」と言うのです。角栄は空手形を切ったりはしませんから、それはそれで相手も納得して帰ります。いずれにしても速い。パッパッとやる。だから陳情は1件あたり平均して3分。本当の話なんですね。

1-4、分かったフリはしない

しかし、全部が全部、そうではありません。分からない時だってある。まったく知らない分野の話も多い。そういう時は「分からない」「知らない」とはっきり言って、担当者に話を聞くのです。中途半端に分かったふりをしないで丁寧に最後まで話を聞きます。全部話を聞き終えたあとで、「この案件はこれこれこうだから、この担当者のところに行け。話は俺からしておく」と振り分けます。こういう時は、時間がたっぷりかかります。

1-5、子供にはめっぽう優しかった角栄

ある時、こんなこともありました。陳情の列に子供が混じったのです。子供たちは殺気立った大人たちの様子に気後れしていまいます。後ろに引っ込んでしまいました。角栄はその様子を見てとって、後ろの方にいた子供たちを呼び寄せて話をし始めました。申し訳なさそうにしている子供たち。そんな子供たちに角栄はこういったといいます。

「私は、自分を国のために働かせてくれる人を大切にする。順番はその順番。だから君たちは気にしなくていいんだよ」

角栄は子供たちには本当に優しかったといいます。

1-6、まとめ

 これは朝の角栄の様子。ほんの1時間です。角栄は朝のこの1時間であっと言う間に仕事を片付けていきました。頭のなかに情報がきちんと整理されて入っていたからこそできることですね。

 ここまでお読みいただき本当にありがとうございました。以下、まとめになります。

●顔をみただけで名前、姻戚関係、友人関係がわかった。
●世間話はなし。「できる」「できない」「やっておいた」
●分からないことは「分からない」。徹底的に聞く。

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著者情報

ニックネームはハチマキめがね 。下水道の清掃員、マンホールから地下にもぐり数百匹のゴキブリとウンチまみれのドブねずみと対決→生鮮市場 でサンマやイワシなど小魚を売る。毎日、ギャング集団のマグロチームに追い立てられ少し弱り気味、、、。そんな中、日頃気になる話題を独自の切り口で語ってみました。「満月」のように太陽の光を浴びて夜道を照らすような存在でありたいと思います。よろしくお願いします!

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