なのにカード会社には届いていない。
司法書士がカード会社に、きちんと振り込んでくれたはずでしょ。
いったいどういうこと?
えっ詐欺!債務整理のお金を司法書士に横領された僕の体験談(実話)の第2話です。
司法書士が消えた!
司法書士にお金は振り込んだ。再生計画は履行され、もう完了しているはずでした。
でも東京地方裁判所が「再生計画を取り消す!」と言ってきているのです。
分けわからん!もう知らない!
ヤケを起こしそうになりました。
しかし、グッとこらえる。
「事情を確認しなきゃ!」。
とにかく、お金を振り込んだ司法書士に連絡をとるしかない。
電話、つながらない。
1回、5回、10回、30回……。
ダメだ。
メール、つながらない!
なんで?なんでだ!
I司法書士は「誠実さのかたまり」
司法書士の顔が浮かんできました。
大きな目、30歳代、イケメンです。
とにかく礼儀正しく、丁寧で。
仕立てのいいスーツに身を固め、とにかく穏やかな口調で「大丈夫ですよ。立ち直れますよ」と誠実に個人再生の手続きを進めてくれたI司法書士。
いったい何があったんだ!
軽自動車をぶっ飛ばす!
電話もメールもつながらない!
ダメか!
いや待て!あきらめるな!事務所に行ってみよう!
たまたまこの日は水曜日、T市場で働く僕はお休みです。
時間はまだ午後3時、夏の太はまだまだ高い。間に合います(何が間に合う!)。
車のエンジンをかけI司法書士の事務所に向け出発しました。
事務所はもぬけの殻!
I司法書士の事務所は六本木にありました。
個人経営。
東京ミッドタウンのすぐ脇の10階建て程度のオフィスです。
すごい一等地!「司法書士ともなればこんなところに事務所を構えるんだな」。初回、訪れた時、驚いた思い出します。
本当はこの時に気がつくべきでした。
厚生労働省の統計などによると、司法書士の平均年収は約765万〜970万円程度、すごい年収ですが、それでも個人経営でこんな一等地に事務所なんて構えられるはずはないのです。
部屋の応答はなし!
車で30分、軽自動車なのであちこちで煽られながら、ようやく到着しました。
うーん。ここだ!オフィスはまだある。
オフィスの集合エントランスに入るとピカピカの床、昔のままです。
ドキドキしながら、思い切ってI資料をひっぱりだし、司法書士の部屋番号を押してみました。
予想通り?応答はありません。
1度、2度、3度……。
やっぱり反応はありません。
またガクガク、足が震えはじめました。
集合ポストに名前がない!
しばらく呆然としていました。
そして思い出しました。
「そうだ、集合ポストがあったんじゃなかったけ!」
玄関の少し先の奥まったところに集合ポストがあったはずなのです。
探してみると……。
ありました。確かに昔のまま集合ポストがありました。
集合ポストは全部で30個くらい。
前回来た時にはそのうちの一つに「I司法書士事務所」と名前を印刷したテープが貼ってありました。
「まだ、ポストに名前が残っていれば大丈夫。今、いないのは出かけているだけ!」
期待を込めて集合ポストでI司法書士の名前を探しました。
「名前さえあれば……!」
しかし、名前はありませんでした。
何度も何度も探しました。
でも、「I司法書士事務所」のテープが貼ってあるポストはありませんでした。
黒いテープに金色の文字、それが無くなっていたのです!
管理人がやってきた!
これ、ヤバイ!
ほんとうにヤバイ!
「どうなっている!」
玄関脇に管理人室があるのを見つけました。
小窓にはカーテンがしまっています。
ブザーを鳴らしました。
反応はありません。
小窓をトントン、ノックしてみました。
やはり応答がありません。
「看板はもうかかってませんよ」
その時です。
玄関の脇の鉄扉があき、一人の作業服を着たご婦人が中に入ってきました。
70歳くらいでしょうか、少しうつむき加減です。
玄関にたたずむ僕をみて、作業服のご婦人が声をかけてきました。
僕はもう泣きそうな顔をしていたんでしょう。
「あのう、何か?私管理なんですけど」
良かった!すかさず尋ねました。
「I司法書士事務所はまだありますか?I先生、いらしゃいますよね」
返ってきた管理人の返事はこうでした。
「さあ、まだ、引っ越しはされていないと思うんですけど……」
どういうこと?
「表札がかかってないんです」
表札は「床に落っこちてしまっている」というのでした。


