2025年5月18日、佐賀市での政経セミナーにおける江藤拓農林水産大臣(当時)の「私はコメは買ったことがありません」という衝撃的な発言は、瞬く間に国民の怒りを買い、SNSを炎上させました。
そして5月20日、石破茂首相は江藤農水相を更迭する方針を固め、事実上の引責辞任となりました。
石破政権発足後初の閣僚更迭となり、政権運営への打撃は避けられない状況です。
いったいなぜ、この発言がここまで大きな問題となり、江藤大臣は職を辞することになったのでしょうか?
彼の経歴や過去の失言も踏まえ、今回の更迭劇の背景を徹底検証します。
「コメは買ったことがない」発言の全容と国民の怒り
江藤前農水大臣は、佐賀市での講演で以下のように発言しました。
「私はコメは買ったことはありません。支援者の方々がたくさんコメをくださる。売るほどあります、私の家の食品庫には」 (引用:FNNプライムオンラインなど)
この発言は、コメの価格高騰や食料問題に苦しむ多くの国民の生活実感と大きくかけ離れており、「庶民感覚ゼロ」「大臣の資格なし」といった批判が殺到しました。
SNS上では「#自民党政治を終わらせよう」といったハッシュタグが飛び交い、辞任を求める声が急速に高まりました。
成城大学卒は無能なのか?エリート経歴と庶民感覚のズレ
江藤前農水大臣は、地元の名門である宮崎県立宮崎西高等学校を卒業後、成城大学経済学部経済学科に進学しました。
農業政策のトップを担う要職にありながら、この「コメを買ったことがない」発言は、彼の専門性や国民への配慮を疑問視させるものでした。
エリートとしての経歴を持つ彼が、なぜこれほどまでに国民生活の実態を把握していなかったのか、多くの人が疑問を抱いています。
父親は大物議員で庶民感覚ガゼロ
江藤大臣の父親は元衆議院議員の江藤隆美氏です。
自民党のタカ派の重鎮で建設大臣や運輸大臣も務めました。
父親が元衆議院議員の江藤隆美氏という政治家一家に育ち、経済的な苦労を経験してこなかったことが、今回の庶民感覚とのズレを生んだ可能性は否定できません。
度重なる失言!3度目どころではない国民感覚との乖離
今回の「コメを買ったことがない」発言は、江藤氏にとって初めての失言ではありません。
過去の彼の発言を振り返ると、国民感覚とのズレが常態化していた可能性が浮上します。
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2019年10月29日 参議院農林水産委員会 豚コレラ発言:「天から来たもの」 豚コレラに関する答弁で「本来、これは天から来たもの」と発言し、防疫対策に尽力する関係者の努力を軽視するものとして批判を浴びました。
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2024年2月28日 衆議院予算委員会第6分科会 食糧法発言:価格に対する認識の甘さ コメの店頭価格高騰に関する質問に対し、「食糧法には価格の安定なんて書いてありません」と発言。さらに「うるほどある」といった発言は、コメ高騰に苦しむ消費者や販路拡大に苦心する米農家の現状と大きく乖離していると指摘されました。
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2024年4月30日 シェアニュースジャパン報道:「お金さえ出せば手に入ると日本人が信じ過ぎた」発言 コメ不足に関する報道で「お金さえ出せば手に入ると日本人が信じ過ぎた」といった趣旨の発言をしたと報じられ、これも国民の生活感覚を無視した発言として批判を浴びました。
度重なる失言は、江藤前大臣の農業や食料問題に対する認識の甘さ、そして国民の生活実感との深刻なズレを明確に示していたと言えるでしょう。
野党の追及と夏の参院選への影響考え更迭の決断
石破首相は江藤氏の発言を受け、当初は厳重注意にとどめ続投させる方針でした。
しかし、立憲民主党など野党5党が江藤氏の更迭・辞任を要求することで一致し、農水相不信任決議案の提出検討に入ったことで状況は一変しました。
少数与党である石破政権にとって、不信任案が提出されれば可決される可能性も否定できません。
国民の関心が高いコメ価格に関する発言であり、夏の参院選への影響を抑えたいという首相の思惑もあり、最終的に更迭という判断に至ったものとみられます。
「コメを買ったことがない」が浮き彫りにする食と農の距離
私たち消費者にとって、コメは日々の食卓に欠かせない主食であり、その価格変動は家計に直接影響を与えます。
大臣の「コメを買ったことがない」という個人的な状況は、多くの国民の日常とはかけ離れたものであり、庶民がコメの価格高騰にどれだけ苦しんでいるかを想像できない姿勢に、強い憤りが生まれました。
江藤前大臣の発言だけでなく、一部の政府関係者や経済界トップのコメの価格に対する認識が庶民感覚と大きくズレていることも、今回の騒動で浮き彫りになりました。
食と農を取り巻く現代社会の課題に対し、政治家が国民の生活実感に寄り添い、現場の声を政策に反映させることの重要性を改めて痛感させられる出来事となりました。
まとめ
「私は米を買った事がない。支援者の方が沢山くださるので売るほどある。私の家の食品庫には!」と江藤拓農林水産相…自慢か!
国民はバカ高い米を我慢して買わされているのに、自分らの無計画な失政を棚に上げ呆れたお粗末発言の農水大臣…
国民の声は届かない…不適格!😩 pic.twitter.com/zbLlh7OaEA— かもうのかけ小 (@AfYjpB3h5Hp0n6g) May 19, 2025
江藤前農水大臣の「コメを買ったことがない」発言とそれに続く更迭劇は、政治家としての資質、庶民との感覚のズレ、そして食と農を取り巻く現代社会の課題を浮き彫りにしました。
国民の信頼を得るためには、単なる政策立案能力だけでなく、国民一人ひとりの生活に寄り添い、共感する姿勢が不可欠です。
今回の件は、今後の政治において「共感力」と「現場感覚」がこれまで以上に重要になることを示す、大きな教訓となるでしょう。