岩手県の大槌町で、 元自衛官の斉藤歩叶さん(21)がツキノワグマ3頭に襲われ、これを撃退しました。
生後1カ月の長男を抱いて「この子を守らなくちゃ」の思いで、突撃してきたクマを右足で思い切り蹴り上げたと言います。
たまたま斉藤さんは元自衛官。
「クマの倒し方は習っていない」とは言うものの奇跡的に難を免れましたが、このところクマの被害は後を絶ちません。
ついこの間も北海道の奈井江町で、クマの頻繁な出没を受け、町の役所が地元の猟友会に出動を依頼したのですが、猟友会がこれを辞退したという話題がありました。
問題は報酬で、町役場の提示額8500円(1日あたり)で、猟友会側は「一歩間違えば命を落とす。それなのにコンビニエンスストアのアルバイト並みの金額でやれというのか」とクマの駆除を辞退しました。
一方で町役場側は「予算がない」として両者の折り合いはつきませんが、今後、クマの駆除問題は全国的にも大きいな問題となっていく可能性が高いとみられます。
発砲の場合は1800円加算
まず、クマ駆除で提示した町役所の金額をご紹介しましょう。
奈井江町側が北海道猟友会砂川支部奈井江部会に提示した日当の金額は1日あたり8500円、発砲した場合は1800円が加算されて、最大で1万300円でした。
昨年、奈井江町ではクマが20件、目撃されました。
ゴルフ場に出没した際は、人に危害が加わる可能性があるとして町が猟友会の奈井江部会のトップ山岸辰人さんに要請、出動しました。
この時は「無償。100%ボランティアだった」といいます。
コンビニ並みの日当では仕事は投げ出せない
今回は無償ではありませんでした。
しかし、それでも猟友会側は事態を決めました。
山岸辰人部会長はこう言います。
「みんな、それぞれ仕事をしているわけですよ。緊急で呼び出しであれば、その中から時間を割いて出られるものが出ていく。高校生のコンビニのバイトみたいな金額でやれ。ハンター馬鹿にしてない?って話ですよ」。
ヒグマの威力は米軍の特殊部隊と同等
確かにクマの駆除はとても危険です。
「やっぱりヒグマは相手が違う。鉄砲持っているからって、米軍の特殊部隊相手にするようなもんだよ。この条件ではちょっとやってられない」(山岸部会長)
しかも、相手は1頭とは限りません。家族で行動している場合もあり、複数のクマを一度に相手にしなければならないケースもあります。そうなると危険度はさらに増します。
札幌市の場合なら3万6300円
環境省によりますと、道内のクマの捕獲数は2014年度は555頭だったのが昨年度は1422頭に。ここ10年で3倍近くに増えています。
このため、クマの駆除のために地方自治体がハンターに出動を要請するケースも増えています。ただ、報酬は自治体によって異なります。
北海道の幌加内町の場合は1日1万5000円。
去年、朱鞠内湖で釣り人が襲われたことを契機に、増額となりました。
札幌市ではクマ出没を受けた出動で1回2万5300円、捕獲・運搬した場合は3万6300円が支払われるといいます。
まとめ
【岩手】息子抱いたママが蹴りでクマ撃退 元自衛官だが「倒し方学んでない」 https://t.co/MAC3ogLvia pic.twitter.com/GucX8DUiaZ
— としぼーや (@toshiboya138884) September 15, 2024
ハンターには銃が第三者に盗まれないよう厳重に管理することが義務付けられていたり、許可申請の手間がかかったりと一般の人が知らない経費が諸々かかります。
そのうえでヒグマと戦って安全に勝てる能力を持つハンターを日給8500円で雇うとなると確かに無理があるかもしれません。
一方で町役場側にもやらなければならない仕事はクマ駆除以外にもたくさん抱えています。
クマ駆除にさける予算に範囲があることも事実です。
国の財政支援などで両者が折り合え、1日も早く安全な日常が戻ることを期待したいですね。