広島県の安芸高田市の市長、石丸伸二氏。8月の市長の任期満了を前に市長の職を辞し、東京都知事選に出馬しました。
都知事選では善戦しながらも敗北しましたが、出馬宣言とともに打ち出したのが地方への都市機能分散です。
かつて戦後、最後の宰相と呼ばれた田中角栄も『日本列島改造論』で同じく地方分権を提唱しましたが、石丸氏も同じく「今、日本を救う道は地方分権しかない」という結論に達したといいます。
政治家として再起を目指す石丸氏は田中角栄になれるのでしょうか。
考えてみたいと思います。
とても面白いテーマなので是非、お読みになってください。
このブログは以下の点にそってまとめています。
●石丸氏が東京都知事選に出馬表明
●石丸氏はなぜ立候補したのか?
●石丸氏と田中角栄の共通点
東京一極集中から多極分散めざす
安芸高田市の守旧派の議員や地元メディアと激しく対立してきた石丸氏。
「まだまだ、やりたいことは残っている」としながらも「地方の問題を打開すべく違うアプローチをとる」とし次の都知事選への立候補を表明しました。
「全国の自治体のほとんどが同じ状況に陥っている、それを突破できる分岐点があるとするならば東京都・日本の首都だと考えた」
石丸氏は立候補の理由をこう述べました。そして少子化が進む地方都市の問題を解決するには「東京一極集中から地方への多極分散を推し進めるしかないという結論に達した」というのです。
エリートらしからぬ改革派
石丸氏は安芸高田市の出身。
京都大経済学部を卒業後、三菱東京UFJ銀行に入行し、為替アナリストとしてニューヨークに駐在した経験を持ちます。
アメリカ大陸の主要9か国25都市で活動した後、銀行を辞め2020年安芸高田市長選に出馬して当選しました。
居眠り議員に対して「恥を知れ!恥を・・・という声が上がってもおかしくない」と発言するなど積極的な改革派で、公式Xのフォロワー数は20万人を超えます。
地方に立脚、角栄と共通
小学校しか卒業していない角栄に比べ、経歴はずいぶんと華やかですよね。
一方で地方の問題解決には東京からメスを入れないとならない、という視点は角栄と同じです。
角栄は新潟の寒村の出身で「冬になると一家の大黒柱が東京に出稼ぎに行く。家族は雪のなかに寂しく取り残される。そんな悲しみを日本全体からなくさなければならない」と国政を目指しました。
石丸氏も「安芸高田市のような人口3万人を切る自治体の場合、縮小均衡の財政運営だけでは限界がある」と主張、日本にはこうした地方都市がたくさんあり、この問題に楔を打ち込まなければ、日本は大変なことになると指摘しています。
『日本列島改造論』に込めた角栄の思い、石丸氏が引き継ぐ?
角栄は日本列島に鉄道網を張り巡らせ、すべての都市が東京に日帰りできる「1日経済圏」という考えを打ち出しました。
レールの上を車輪で走る鉄道でスピードに限界があるとしてリニアモーターカーの導入も打ち出しています。
いまから50年も前にリニアモーターカーの可能性に着目するとはさすがですよね。
同時に高速道路網の整備の重要性にも触れています。
過疎が進む地方と地方を高速道路で結ぶ。
そしてインターチェンジを起点に人口25万人程度の都市を形成して、物流センターや工場なども配置していく構想でした。
角栄はロッキード事件で失脚した後も、総理に返り咲くことを夢見ていましたが、それは決して自身の権力欲ではありませんでした。
自分が描いた『日本列島改造論』を何とか実現させたいとの思いがそこにはあったようです。
石丸氏がその角栄の思いを引き継いでくれれば面白いと思いませんか。
地方を変える、東京が変わる
石丸氏が都知事になった場合、東京をどう変えてくれるのか。
それは、まだ未知数です。しかし、もし角栄と同じだとすればとてもユニークな都市開発が期待できます。
角栄は『日本列島改造論』のなかでこんな東京改革を提唱しています。
それは「低層建築制限」という考え方です。
東京に低層の建物が建たないよう規制を設けるのです。
同時に小さな敷地にペンシルビルがニョキニョキ建つことにも規制をかける。
広い敷地に高いビルが建つよう高層化を制度的に推し進める。
東京は高層化され、整理されて空いたスペースは緑地や公園にするというものです。
良いと思われませんか。
まとめ
とにかく石丸氏は若い。
気力も体力も充実しています。
対抗馬は恐らく小池百合子氏でしょうが、学籍詐称問題でかつてのパワーはありません。
自民党、公明党が乗ってきても石丸氏なら十分に戦えるでしょう。
東京都は伏魔殿。安芸高田市のようにはいかないでしょうが、思い切った改革が必要なことは間違いありません。
石丸氏が角栄のような馬力と知力を持ってAI搭載のブルドーザーのように東京を改革、前進させてくれることを期待したいですよね。
ここまでお読みいただき本当にありがとうございました。以下、まとめとなります。
●石丸氏、地方を変えるには東京一極集中を正すしかない
●発想は田中角栄と共通
●小池百合子に勝てる可能性十分あり