米大リーグ・ドジャース大谷翔平がまた見せてくれました。
4月27日(日本時間28日)の対ブルージェイズ戦で菊池雄星投手との対決で、3打数1安打1打点、ヒットの打球速度は119.2マイル(約191.8キロ)と自己最速でした。
菊池投手は大谷選手の花巻東高校の先輩。大谷選手が中学時代に憧れた存在でもありました。
そんな菊池投手にひるむことなく立ち向かい見事にライト前にヒット、菊池投手は「打球が速過ぎてちょっと見えなかった」と話しました。
記録を塗り替える超高速ヒットは、現在の自分を作ってくれた憧れの先輩への恩返しでもあります。
大谷選手は菊池投手との対決を糧にしながら成長しているのですね。
さわやかな2人の関係を見てみましょう。
このブログでは、次のポイントをまとめています。
●大谷選手にとって菊池投手はどんな存在
●菊池投手は大谷選手をどう評価している?
●大谷選手にとって菊池投手と対決することの意味は?
1 大谷選手と菊池投手はともに花巻東
岩手・花巻東高出身のブルージェイズ・菊池とドジャース・大谷。今季初対決に注目が集まりました。
大谷選手にとって菊池投手は3学年上の先輩です。
「あんなすごい選手が岩手にもいるのか。僕もあんな選手になりたい」。大谷選手は中学校時代、菊池投手のことを周囲にそう話していたと言います。
そして菊池投手と同じ花巻東高校に進学、入れ替わりではありましたが、同じグラウンドで汗を流すことになりました。
WBC決勝戦前に大谷選手は「憧れるのをやめましょう」という名言を残しましたが、大谷選手の脳裏にはいつも菊池投手が「憧れ」として、あったはずです。
2 菊池投手との対決は自分の立ち位置の確認
相撲の世界には「親方を倒すことが一番の親孝行」という言葉があります。
野球の世界でもそこは同じで、大谷選手も菊池投手にはめっぽう強い。
エンゼルスでの6年間、菊池投手に対して20打数6安打、3本塁打4打点、打率3割とかなり打ち込んでいます。
同じ高校、しかも「憧れの先輩」と大谷翔平選手自身が告白する間柄ではありますが、そこはプロですから「恩返し」とばかりに対菊池ではヒットを量産してきています。
今回、大谷選手がドジャースに移籍し初めての対決となりましたが、試合前、感想を聞かれた大谷選手はこう答えています。
「毎年毎年、そんなに数があるわけでもない。学校もそうだし、教えてもらった先生方の方が、楽しみという感じではないかなと思う」
テレでしょうか。「花巻東の学校関係者や恩師たちが楽しみにしているんでしょう」ということですね。
でも、本音は大谷選手自身が一番、直接対決を楽しみにしているのではないでしょうか。
昔は憧れだった菊池選手と渡り合い、時にはヒットやホームランを打つ。
そのことにより自分の立ち位置と成長を確認しているのです。
3 大谷の打球、「速すぎて見えなかった」
さて、今回の試合で、注目のヒットは二回二死一、三塁で迎えた第2打席でした。
2ボール、2ストライクからの5球目。菊池投手が投じた98.2マイル(約158キロ)の内角直球を、大谷は鋭く右前にはじき返しました。
打球速度は119.2マイル(約191.8キロ)。
大リーグ公式データサイトによると、メジャー7年目となる大谷翔平選手にとって自己最速の打球でした。
「インコースの悪くないボールだった。自分自身も腕を思い切り振ったボールだったけど、投げた瞬間にライト前に行っていた。打球が速すぎてちょっと見えなかった」(菊池投手)。
菊池投手は苦笑いでした。
この菊池投手の言葉、大谷選手は嬉しかったに違いありません。
4 大谷は「ナンバーワンの打者にもう確実になっている」
そして四回にも2人は対決します。
大谷選手にとっての第3打席目。
菊池投手は内角低めのカーブで空振り三振を奪いました。
勢い余って大谷選手のヘルメットが脱げ落ちるほどのフルスイングでした。
「絶対、今度も打つ」。
そんな大谷選手の気迫が伝わってきますよね。
後ほどのインタビューで菊池投手はこう話しています。
「最後何とか三振を取れた。左右問わず、ナンバーワンの打者にもう確実になっている。そういう打者と対戦できるというのは、僕自身のレベルアップにもつながるし、本当に幸せなこと」。
どうですか。菊池投手は大谷選手を「ナンバーワンの打者」と表現しました。大谷選手にとってこれほどの賛辞はないでしょう。
また別のインタビューで菊池投手は大谷選手をこう評しました。
「・・・本当にパワーもそうですけど確実性も含め、本当に毎年どんどんレベルアップするので、僕もそれに負けないようにね、対戦を楽しみにしながら、でも、どうやったら抑えられるんだろうというのを日々考えながらやっていますけどね」
「二刀流をしていること自体が考えられないですね、本当に。僕、ピッチャーしかやっていないですけど、投げ終わった後、3日間くらいは体が使いものにならないんで、(中略) ・・そういう中で二刀流で数字を残しているのはちょっと考えられないし、さらに今年はバッターに専念したら、それは疲労度合いも違うでしょうから、とんでもない数字がシーズン後に残っているんじゃないかなと、違うリーグで良かったなと素直に思いますけど」(TBSニュース)
まとめ
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。
大谷選手がまだ中学3年生の2009年。夏の甲子園で花巻東は4強入りしました。当時菊池投手は3年生。その活躍ぶりに試合を見ていた大谷選手は「岩手にもこんなすごい選手がいるんだ」と菊池選手に憧れたといいます。
かつては憧れだった菊池投手と大リーグの大舞台で直接対決し、打ち、誉められる。それが大谷選手の目標でもあり、成長の原動力にもなっているのですね
この試合は4―2でドジャースが勝利し、6連勝を飾りました。ブルージェイズは5連敗。菊池投手は6回9安打4失点、3奪三振で、2敗目(2勝)を喫しました。大谷選手は5打数1安打1打点でした。
●菊池投手は大谷選手が中学校の時からの憧れ
●憧れだった菊池投手との直接対決は大谷選手にとって最大の楽しみの一つ
●菊池投手に褒められる、それが大谷選手の成長の原動力