米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手。
本当に礼儀正しく丁寧な人ですよね。
人の質問をきちんと聞き、丁寧に返す。
そのやり取りは見ていて本当に気持ちいいがいいものです。
しかし、その裏には大谷翔平選手が持つ集中力がいかに凄まじいものなのかを物語ります。
一瞬一瞬に五感を研ぎ澄まし集中する。
それが目の覚めるようなプレーを生み、人柄を形成していきます。
素晴らしいですよね。
一緒に見ていきましょう。
1 丁寧に、自然に
長嶋一茂が驚愕、「本当に20代?」
テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」での一幕です。
大谷翔平選手のドジャース入団会見を見たコメンテーターの長嶋一茂が「ビックリですね。まだ20代ですよね?」(2023年12月15日)と驚嘆の声を挙げました。
記者とのやり取りが素晴らしいというのです。
一茂は「すごいなと思ったのは、質問の中にいくつか答えづらい部分があったのかなと」と語り、「例えば『オファーしてきた球団は何球団ありましたか』とか」と話しました。
一茂を感嘆させた大谷翔平選手の答えはこうです。
「僕の口からこの場で言っていいのかわからないので、そこは差し控えさせていただきます」
一茂は「契約条項のことも含めて、言えない部分もはっきり自分の判断でされていた。自分の言葉の重みを自覚されていて、冷静沈着に話をされる方なんだなとビックリですね。まだ20代ですよね?」。
確かに一茂の言う通りです。
奇をてらわず正面から向き合う
大谷翔平選手の記者会見の特徴は一言でいえば「誠実」。
決して変に気の利いたことを言おうとはしない。
かといってぶっきらぼうでも、横柄でもありません。
記者の質問を正確に聞きとり、自分が置かれた状況のなかで最大限、誠意をもって答えるというスタンスです。
これがいい。
清々しい。
ドジャース入団会見時の先ほどの質問でも、普通の選手なら少しは得意になり、ふざけたり、あるいは、おちゃらけたりしてしまうところ。
しかし、大谷翔平選手は、不自然にかわすこともせず、真向から記者の質問に向き合い、「100%の誠意をもってゼロ回答」しています。
それが素晴らしいのです。
記者とのやり取り1回、1回が真剣勝負。
これがまた大谷翔平選手の野球のプレーと同じなのです。
2 水原一平事件も通過点
淡々とこなした水原一平事件の記者会見
世界中が注目したと言っていい、水原一平さんの違法賭博発覚後の初めての記者会見の時も周囲を驚かせる事件がありました。
2024年3月25日です。
大谷翔平選手自身が巨額の資金を奪われ、裏切りにあったうえに、米国のマスコミ界では「大谷自身も賭博に関わったのでは」と疑う声も多くありました。
球界から永久追放もという意見すら出ていました。
対応を間違えれば、例え無実であっても選手生命は終わりです。
しかし、大谷翔平選手は冷静でした。
「今日は言うんだ」「疑惑を晴らすんだ」という気負いを全く消し、怒りや悲しみといった感情をいったん脇においた。
そして淡々と事実を語り、語り終えた後、さっと姿を消しました。
記者会見の数分後、グラウンドに
そしてその後です。
ほんのわずか数分後。
今度はその大谷翔平選手の姿はグラウンドにあったのです。
これには記者たちも驚愕しました。
あれだけの緊迫した記者会見を開いたその後、グラウンドで投球練習を始めたのです。
「嘘でしょ?」
前日まで弁護士や代理人たちと相当つめた準備があったでしょう。
かなりの時間と体力を使い、憔悴しきっていたはずです。
なのにそれを物ともせずに数分後にはグラウンドで投球練習を始めたのです。
これには米国のスポーツ記者たちも唖然としました。
「点」を集中して打つ
事実確認、事前準備、記者会見。
このすべてを手抜かりなく、集中して全力でやり切る。
そして次は本業のピッチング練習です。
一つ一つの「点」を、集中してきっちり打つ。
だからこそすぐに次の「点」が打てるのです。
憂いを残すこともない。
後ろ髪をひかれることもない。
一瞬、一瞬を感情に左右されることなく全力でやり切る。
そうすれば「点」と「点」が自然につながり、しっかりとした「線」となる。
これが大谷翔平選手なのです。
3 怒りは敵と思え
誤審でも揺らがず。騒がず怒らず確認だけ。
2021年9月。
シーズン終盤のマリナーズ戦でのこと。
大谷翔平投手はここまで投手として9勝、打者として45本塁打。
トップと3本差となっている本塁打王争いを演じ、残り1試合となっていました
「2番・投手」で先発出場した大谷翔平選手。
マウンド上から相手の左打者フレーリーに外角高め97マイル(約156キロ)を投げ込んだ球を審判は「ボール」の判定をしました。
しかし、画面では完全に「ストライク」。
大谷翔平選手が投げ込んだボールは何度確認しても表示されたストライクゾーン枠内を通過しているのです。
さすがに捕手のスズキも戸惑った様子。
球審を振り返ります。
大谷翔平選手も少し右手を前に出して反応します。
しかし、それだけ。
大谷翔平選手は「本当にボールなんですね」と確認し、落ち着いた様子で頷いて次の投球へと移ったのでした。
後に米ファンからは「誤審だ」「キャッチャーがもっと助けないと」と言った声が湧き上がり、「ピッチングニンジャ」の異名をとる米投球分析家ロブ・フリードマン氏もツイッターで映像を公開し、文面で「ショウヘイは礼儀正しい」、米データ分析会社「コディファイ・ベースボール」も公式ツイッターで反応しました。
結局、この試合は7回5安打1失点、10奪三振の力投も打線の援護なく大谷翔平選手は10勝目を逃しました。
このため、ベーブ・ルース以来103年ぶりのシーズン2桁勝利&2桁本塁打は持ち越しとなってしまいました。
これは「事件」でした。
まとめ
重要なのは「事件」を巡る大谷翔平選手の対応です。
マウンド上で騒ぐことも怒ることもない。
ただ「ボールなんですね」とジェスチャーで確認しただけ。
後は次に移ります。打ち終わった「点」は「汚点」であろうとも、すでにもう「通過点」。
とらわれずに次に移る。
そして次の点を全力で打つのです。
これが大谷翔平選手なのです。
過去の点にとらわれず、一つ一つ前進しながら「点」を打ち続ける。
それがクッキリとした線をつないでいく。
そうやって大谷翔平選手は選手としての実績を積み重ねているのです。
いかがでしたか。「一日一生」ならぬ「一瞬一生」。
一瞬、一瞬を集中して全力でやり切る。
だからこそ次の瞬間が輝くのですね。
大谷翔平選手の「次」に期待ですね。
●水原一平事件の記者会見の数分後にピッチング練習。
●一瞬、一瞬を集中して全力でやり切る。後悔は残さない。
●一つ前に「点」を打ち続ける。それが「線」を延ばしていくことになる。