米大リーグのドジャースの大谷翔平選手が5月20日(日本時間21日)、ダイヤモンドバックス戦でセーフティーバントを決めました。
相手の三塁手が深めに守っていたのを見て瞬時に反応、見事にバントヒットにしてみせました。この瞬発力、凄まじくありませんか。水谷一平氏の事件の影響を微塵も感じさせない頭脳プレー。100%試合に集中している証拠ですよね。ボールを打ち返すスピードもぐんぐん上がり、大谷選手は好調そのものです。いったいなぜ水原事件に引っ張られないのか。理由は「メンタルのスイッチング力」の高さにあるのです。何、それ?そう思われるかもしれません。でも、とても参考になると思われますので、ご紹介させてください。是非、お読みくださいね。
このブログは以下のポイントでまとめています。
●水原一平事件の後も大谷選手は絶好調
●好調の維持にはメンタル面の調整が不可欠。大谷選手はどうしている?
●メンタルの維持は大谷選手だけの力?
1、水原事件、陰を感じさせない好調ぶり
5月20日NHKで放送されたクローズアップ現代「ドジャース大谷翔平・新たなる闘い “止まらぬ進化”」。そこで大谷選手の今季のバッティングの好調ぶりについて分析がなされました。水原一平氏の賭博問題を完全に乗り越え、進化し続ける大谷選手。確かに今季の活躍ぶりには目を見張るものがありますよね。
ドジャースのチームメートの証言です。
ジェームズ・アウトマン選手:驚いたよ。フィールドの外であんな気が滅入るような事が起こっているのに、時速100マイル(161キロ)の速球を打ち返せるなんて。そんな選手なかなかいないよ。
ミゲル・ロハス選手:彼(大谷選手)はプロフェッショナルで、全てにうまく対応していました。
一番、側にいるチームメートたちが大谷選手は好調であることを認めています。そして大谷選手は彼らに水原問題の陰を全く感じさせていないのです。
2、「ON」と「OFF」、絶妙に切り替え
信頼していた側近の裏切り――。普通なら誰しも心が折れてしまいますよね。しかも巨額なお金も一緒に消えてしまったのですから、なおさらです。
けれども、大谷選手は違う。絶好調なのです。
では、大谷選手は鋼のメンタルなのか。違います。大谷選手自身、「自分のメンタルは決して強くない」と告白しています。
だとすると、大谷選手はどうやって好調さを維持しているのか。答えは「スイッチング」です。「野球」と「それ以外」を整理したうえで切り分け、試合中は「野球」に100%集中するようスイッチを入れているのです。よくビジネスのうえで「ON」と「OFF」の切り替えることの重要性を説く経営者がいますが、大谷選手の場合もまさにそれですよね。いわゆるメンタルコントロールの技術が巧みなのです。
3、グラウンドの外のことはグラウンドの外に置いてくる
ジェームズ・アウトマン選手はこう話しています。
野球をするのが僕らの仕事。グラウンドにいる時はそこが仕事場 そういうものなんです。
つまり仕事場に私事を持ち込まない。グラウンドの外に置いておく。グラウンドから出ればまたとらわれたっていい。ただ、グラウンドにいる間は「仕事=野球」に100%集中するよう切り替えているのです。
大谷選手自身の言葉です。
(チームメート達に)気にしないで欲しいというか。むしろ笑いに変えるくらいのコミュニケーションというか。そこを別にグラウンドに持ち込んでほしくもないと思っていますし、そこはそこで自分で処理すればいいだけなので。もうチームメートには普通に冗談も言い合える雰囲気というのが、すごく僕にとっては楽かなと思います。
番組のコメンテーターを務めた落合博満氏はさすがです。的確に見抜いていて「もう司法に任せ、自分の仕事は何なのか、という事に切り替えたと思います」と解説しました。その通りですよね。
4、メンタルの切り替え、チームメートがサポート
とはいえ、大谷選手もロボットではありません。機械的にスイッチを「ON」「OFF」できるわけではない。スイッチの切り替えがスムーズにできる環境が整っていたことも忘れてはなりません。大谷選手をとりまく環境、つまりチームメートのサポートです。これがなければ大谷選手の今の好調さはなかったはずです。
NHKでは問題発覚後の(3月25日)初会見の時のエピソードも紹介しました。
参加予定ではなかったチームメート達数人がその場に現れた(記者達を驚かせた)のですが、そのうちの一人、キケ・ヘルナンデス選手はこうコメントしました。
翔平のそばにいて、支持を表明するべきだと思いました。これは僕たちにとって(今回の事件のことは)集中を妨げる要因にはならず問題にもならない。その事を彼に確実に伝えたかったのです。
大谷選手も以前、取材を受けた際、「(略)失った、それ以上に、チームメート、チームもそうだが、その件でもそうですけど、支えてもらっている、サポートしてくれる人たちがたくさんいるので、むしろそっちの方がありがたいなというか、そういうふうに感じる場面の方が多いかなと思います」と語っています。
5、まとめ
いかがだったでしょうか。ここまでお読みいただき本当にありがとうございました。大谷選手、本当に「プロ」なのですね。仕事は仕事、野球を見に来てくれたファンのために全力を尽くす、そのためにいろいろな雑事やそれにまつわる雑念はすべてグランドの外に置いてきているのですね。
決して忘れたわけではないし、忘れられるはずもない。グラウンドの外に出ればまた悩む。大谷選手自身、それは認めています。しかし、いったんは置いておく。その技術はやはり「プロ」意識があってこそ、習得できるものなのでしょうね。以下、まとめとなります。
●大谷選手の好調さの原因は100%集中したプレー
●グラウンドは仕事場。仕事以外のことはグラウンドの外に置いてく
●問題はメンタルの強さではない。スイッチングの力。そこがプロ